2016年3月1日火曜日

外せない映画 74/100


風立ちぬ  (2013)






宮崎駿の作品の中で一番退屈で、一番奥深く、一番好きな作品



実在の堀越二郎と堀辰夫の生涯をごちゃまぜにして、更に宮崎駿の自分自身を投影した作品







美しい物、綺麗な物にしか興味のない男の夢の追及、その結果・・・・


自分の産んだもので多くの人が死ぬ、それでも理想を追求する男の性







好きな事の為なら家族や周囲の事なんかお構いなしで理想を追求する



そういう男は確かにいる






宮崎駿もそうなんだろう



ノーベル賞獲る人とか、アーティストとか






ま、そんな二郎の話はほっといてヒロインの菜穂子が・・・・泣ける(涙)









以下ネタバレ有り




男は菜穂子の事も綺麗だよとしか言わない







当時不治の病の結核を患ってれば結婚は嫁の貰い手がなく普通できない


初恋の相手と結婚でき、必ず病気を治すとその時は強い決意で約束する菜穂子








しかし死は避けられないと悟った菜穂子は結核で衰弱する前に病院から抜け出し二郎の元へ


愛する二郎のそばに短い時間でも居られて幸せだったのだろう







衰弱する自分を二郎に悟られない為に毎朝化粧をする菜穂子


そして衰弱する前に綺麗な今の自分のままで高原の病院へ帰ると置手紙をして二郎の元から去っていく






その後、二郎に菜穂子が死んだ虫の知らせのような描写がある


これでもグッとくるが、自分の個人的解釈だけど二郎の元を去った後、菜穂子は自ら命を絶ったと思う




理由① 化粧までして病気の進行を隠し、最後は綺麗なままの自分で二郎の元から去った

理由② 遠い高原の病院に死を迎えるまでの期間、衰弱していく自分の為に夢を追い続ける二郎や愛する父親に何度も見舞いや看病などに煩わさせたくなかった。

理由③ 虫の知らせの描写がもし本当に菜穂子の死の知らせなら菜穂子が二郎の元を去った日と二郎が虫の知らせを感じた訓練飛行の日は同じ日か数日後のはず。二郎の元を去った時の様子からすると、そんなにすぐに結核で死ぬとは考えられない。

理由④ そしてなによりエンディングに流れる『ひこうき雲』は自殺の歌だということ。荒井由実も飛び降り自殺について書いた曲だと暗に認めてる。菜穂子が飛び降り自殺したのかどうかは分からないが、この曲を二郎の心情や最後出てくる特攻隊員の歌だと言う人がいるけど、そんな事は断じてなく、詞の最初から最後まで自殺したあの子(菜穂子)の歌だと思う。


けれど幸せだったと・・・




ラストの夢の中に現れて二郎に笑顔で『生きて』と言う菜穂子



死の飛行機を作って多くの若者を結果的に死に追いやり自責の念に駆られてる二郎に、


それでも若くして死んだ自分の分まで生きてと言ったのだろうか?


そしてスッと空に消えていく菜穂子。



励ますにも程がある。。。(涙)




二郎は「ありがとう、ありがとう」と泣きながら言う


ありがとうの意味とか、カプローニの事、二郎、時代背景とか色々想うことがあるけど、


もうここらへんで書くのやめとこう。




説明不足でクライマックスも無く、平坦な映画だけど


なんだか心に響いて外せない映画になりました。






ひこうき雲  

曲/詞 荒井由実



白い坂道が空まで続いていた

ゆらゆらかげろうが  あの子を包む

誰も気づかず  ただひとり

あの子は昇ってゆく

何もおそれない  そして舞い上がる

空に憧れて

空をかけてゆく

あの子の命はひこうき雲




高いあの窓であの子は死ぬ前も

空をみていたの 今は分からない

他の人には分からない

あまりにも若すぎたと ただ思うだけ

けれどしあわせ

空に憧れて

空をかけてゆく

あの子の命はひこうき雲




今日の一曲 328/365









ひこうき雲 - 荒井由実